旧日本軍の軍人が全て「貴様」と叫んでいるわけではありません
海軍と陸軍の違い。知っているようで知らないことがあります。
制服
海軍士官たちは長期の海上勤務からの帰還後、休暇中の「上陸」では、「レス」や「ピーハウス」で羽目を外したが、
このような私用外出では制服ではなく私服を着用した。
生活上での公私を明確に区別するという海軍流のけじめだったという。
一方、陸軍士官は制服のまま遊んでいたようである。
*海軍隠語 上陸=外出 レス=料理屋 ピーハウス=遊郭
階級
サッカーなどスポーツチームの主将は「キャプテン(captain)」である。
このキャプテンは英国海軍の階級では大佐である。同時に艦の最高指揮官、即ち艦長のことも指すが、
艦長が大佐以下の、例えば中佐(コマンダー)などであっても、艦内では呼称はキャプテンである。
他方、陸軍では大佐はカーネルと称され、キャプテンは大尉を意味する。
因みに自衛隊では陸自,海自共に現状では、大佐は一等陸佐、大尉は一等陸尉と称される。
返答
アイ・アイ・サー、英米海軍では命令されると、「アイ・アイ・サー」(aye aye sir)と答える。
二度重ねるアイは命令に対する理解や了解の上に、即刻実行の意味が含まれるが、騒音の激しい艦内での確実な命令受領が目的との説もある。
同義語の「イエス・サー(yes sir)」は陸海軍共に使われるが、アイ・アイ・サーは陸軍では使わない。
因みにayeはyesの古語で英国議会などでも僅かに残っている。
貴様
海軍基地の一場面にて。
新兵「班長殿。それは自分であります」
班長「貴様か」
旧日本軍人のよく知られている言葉遣いだが、これには間違いがある。
海軍では上官の階級・職名に「殿」は付けず、自身の呼称は「私」となる。また多くは末尾は「です」が使われ、下位の者を「お前」と呼ぶ。
即ちこの文章は、「班長。わたしです」「お前か!!」が正しい。
旧日本軍の「殿」「自分」「~であります」は陸軍用語で、海軍では使われない。
また「貴様」は海軍では士官の同期生間で呼び合う呼称だった。
大佐、大尉
「大佐・大尉」の一般的な読み方は「タイサ、タイイ」なのだが、
旧帝国海軍ではある時期以降の士官の間では「ダイサ、ダイイ」読まれていた。
昭和6年満州事変、昭和12年盧溝橋事件に始まる陸軍暴走による支那事変勃発で、海軍も出動を余儀なくされた。
海軍の仮想敵国は米国であり、大陸方面への派兵は海軍にとっては余計な負担だった。
この間二・二六事件では反乱陸軍部隊と海軍部隊は武力対峙する場面もあり、この時期の若手海軍士官は陸軍に反感を抱いていた。
海軍でも従来は陸軍同様の「タ」であった。
しかし若い海軍士官が集うガンルームで、陸軍憎しとする者たちの間で陸軍とは違う大佐・大尉の「ダ」読みが広まったという。
以後それが海軍内部で普通になっていったようだ。
即ち兵学校60期卒、昭和13年入隊以降の士官・下士官たちは「ダ」読みを使い、それ以前の者は「タ」読みをしていたのである。
陸海軍の文化の違いはなかなか興味深い。
※画像はイメージです。


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